先生の紹介
石田勝紀(いしだ かつのり) 先生
一般社団法人 教育デザインラボ 代表理事 1968年、横浜市生まれ。20歳で学習塾を起業。これまで3500人以上の生徒を直接指導する傍ら、講演会、セミナーなどを通じて5万人以上の子どもたちを指導してきた。35歳で、都内私立中高一貫校の常務理事に就任し、経営、教育改革を実践。現在は「ママが日々ワクワク子育てができるように、全国でママさん対象カフェスタイル勉強会「Mama Cafe」を年間100回以上開催。『東洋経済オンライン』での長期人気教育連載コラムは、累計7200万PVを記録している。主な著書に『勉強しない子には「1冊の手帳」を与えよう!』『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』『中学生の勉強法』『新時代の学び戦略』はじめ、多数の書籍を出版している。
2020年の教育改革で学習指導要領や大学入試がかわることで、これからの教育が大きく変わります。それによって、これからは知識や技能を習得するだけではなく、それをもとに「自分で考え、表現し、判断し、実際の社会で役立てる」ことが求められる時代になるわけです。
そこで最近よく「子どもの応用力、考える力を身につけるにはどうしたらいいでしょうか」という質問を受けます。
もちろん応用力をつけるには、考えることが大切なことなのですが、「考える」とはどういうことか、そもそもその意味がわからないまま使ってしまっている可能性もあります。皆さんは「どういうことを”考える”というのかご存じですか?」と問われて答えられるでしょうか。
そもそも「考える」とはどういうこと?
【「考える」とは】
「自分の言葉で語れること(What)」
「疑問に思うこと(Why)」
「手段や方法を思いつくこと(How)」のいずれかのことをしているときに、「考えている」という状態になると考えます。
通常の教育では、「これは何?」「どこ?」「いつ?」「どっち?」が多く、このようなインプットばかりのアプローチでは、考えるという行為は起こりにくいのです。
しかし、次の3つのアプローチを使うと「考える」が始まります。
「考える」が始まる、3つのアプローチ
1)「自分の言葉で語れること(What)」
「この問題の解き方を自分の言葉で言うとどうなる?」
「この人の言っていることってどういうことだろうね?」
「要するにこれはどういうことなんだろうね」
と聞き、“自分の言葉で”語らせるようにすると、頭が動き始めて、「考える」ことが始まります。
2)「疑問に思うこと(Why)」
「なぜそうなの?」
「なぜだと思う?」
「どうしてこうなんだろうね〜」
と問われると人間は、考えます。どうしてだろうかと。たとえば、「あなたの住所はどこですか」と聞かれると、頭に入っている知識をアウトプットすればいいですね。このときは考えていません。しかし、「なぜ、そこに住もうと思ったのですか」と聞かれると、「あれ、どうしてだったかな」と考え始めますね。これが考えるということです。
3)「手段や方法を思いつくこと(How)」
「どうしたらいいと思う?」
「どのように感じた?」
など英語で言うHowに関係する質問をすると考え出します。これも単に知識を問いているわけではなく、考えないと出てこない質問です。
これら3つのアプローチは、勉強での応用力のみならず、実は、社会人となっても求められる重要な要素なのです。
「課題は何か?(What)」
「なぜそうなのか?(Why)」
「ではどうすればいいのか?(How)」という3つの視点がないと企業は進化発展できません。科学の世界でも、この3つを重ねて進化してきていますね。もちろん昨今のテクノロジーもしかりです。
以上のように、社会に出て最も必要とされる3つのアプローチを使って、「考える力」をつけておくと、勉強での応用力だけでなく、将来にもつながる本質的能力を手に入れたことになります。
子どもが答えられなくても怒らない
気をつけなければならないことは、「質問をして、子どもが答えられなくてもいい」ということを知っておくことです。
質問されると自動的に頭は考え出しますから、アウトプットの質は問いません。答えなくても頭は動いているということなのです。この点を知らないと「なぜわからないの!」という言葉が出てしまい、せっかく考え始めた子どもをがっかりさせる可能性があるので注意が必要です。
このように「考える」ということができるようになるには、日常の問いかけが大切になります。日常のテーマなんでも構いません。
ぜひ、ご家庭でこの3つのキーワードを使って「考える力」を伸ばしていってください。
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