先生の紹介
石田勝紀(いしだ かつのり) 先生
一般社団法人 教育デザインラボ 代表理事 1968年、横浜市生まれ。20歳で学習塾を起業。これまで3500人以上の生徒を直接指導する傍ら、講演会、セミナーなどを通じて5万人以上の子どもたちを指導してきた。35歳で、都内私立中高一貫校の常務理事に就任し、経営、教育改革を実践。現在は「ママが日々ワクワク子育てができるように、全国でママさん対象カフェスタイル勉強会「Mama Cafe」を年間100回以上開催。『東洋経済オンライン』での長期人気教育連載コラムは、累計7200万PVを記録している。主な著書に『勉強しない子には「1冊の手帳」を与えよう!』『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』『中学生の勉強法』『新時代の学び戦略』はじめ、多数の書籍を出版している。
あなたは呪いの言葉を使っていませんか?
「早くしなさい!」「ちゃんとしなさい!」「勉強しなさい!」「それくらい我慢しなさい!」「そんなこともできないの?」
子どもに向かって、毎日こんな言葉をかけてはいませんか?
これらはみんな子どもたちへのNGワードです。 私は別名『呪いの言葉』とも呼んでいます。
いきなり「呪い」などと言われると不穏で怖い気がするし、中には「愛するわが子に呪いなんてかけるわけがない!」と心がざわつくような違和感を 感じる方もいらっしゃるかもしれません。 でも、ママたちのこんな何気ないひと言は、子どもの自己肯定感を下げ、自尊心や可能性ををつぶしてしまう、 やはり呪いの言葉なのです。
自己肯定感とは?
自己肯定感とは何でしょうか? さまざまな定義があるかと思いますが、
私は、「自分のことを価値ある人間である、素直に大切な存在であると感じる心」と捉えています。
どんな親でもわが子の将来を考えれば、高い学力や社会に通用する常識を身につけさせたいと願うのは当然でしょう。でも、待ってください。それなら、子どもに確かな自己肯定感を持たせることがまず大事で、学力やしつけより先に、お子さんに自分が好きで、自分を肯定できる感性をしっかり育てていただきたいと私は思うのです。
子どもを変えるのではなく、親の言葉を変えましょう
親の言葉が変わると、子どもの自己肯定感が上がります。
親の言葉が変わると、子どもの将来も変わります。
「呪いの言葉をやめて、魔法の言葉を使ってみる」
何だか面白そうじゃありませんか? もちろん、一銭のお金もかからないし、大した労力もかかりません。言葉は呪いにも魔法にもなるのです。
「いざおためし2週間」ぐらいの軽い気持ちで、ぜひやってみることをおすすめします。
–魔法のことばは「軽く、明るく」使うことで、最大の効果を発揮するのです。
◇子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
■ 子どもの才能を伸ばす3つの魔法のことば
<承認のマジックワード>
①すごいね
②さすがだね
③いいね
「こんな平凡な言葉がマジックワードなの?」と拍子抜けされた方も多いかと思います。 この3つの言葉をはじめ、これから紹介する10の魔法のことばは、どれも短くて、シンプルで、よく耳にする「どうということのない言葉」です。
短い言葉であれば、子どもたちは、言葉が語らないプラスアルファについて想像を開始します。
それがプラスワードならポジティブな想像が広がり、言葉が持つ「快」のエネルギーとともに 心の奥まで浸透していくのです。
■子どもの心を満たす3つの魔法のことば
<感謝のマジックワード>
④ありがとう
⑤うれしい
⑥助かった
これら3つの言葉は、親から子へ感謝の気持ちや喜びという「感情」を伝える言葉です。決して「優秀だ、賢い、すごい、えらい」といった誉め言葉や評価ではありません。
しかし「親から感謝される」ことは、「親から高く評価される(褒められる)」ことに匹敵するほど、子どもの心を満たしてくれます。
子どもは「だれかの役にたっている」「貢献できている」と思えたときに、自分が必要な人間であることを実感します。感謝の言葉は「機会があれば必ず言うよ」と心がけるだけではなく、ぜひ積極的に「ありがとう」と言えるシチュエーションを作るよう心がけてください。
■子どもの自尊心を育てる2つの魔法のことば
<感心のマジックワード>
⑦なるほど
⑧知らなかった
大人同士の会話にあるけれど、大人と子どもの会話にないもの…って、何だと思いますか? それは「相づち」です。
この2つのマジックワードもざっくり言ってしまえば「相づち」の一種です。
「なるほどね!」「知らなかった!」という、大人の世界では当たり前に使われる言葉を、子どもとの会話で使ってみると、子どもは自分がひとりの人間として対等に扱われていること、一人前であることを意識し始めます。特に親の知らないことを知っているという優越感は、自己肯定感にダイレクトに結びつきます。どんどん使って、ぜひ、子どもたちをその気にさせてください。
「これは何かな?」「それってどうなってるの?」とゲームでも、マンガでも、おもちゃでも何でもいいので、質問をガンガン投げかける。大人が知らない世界について、面白がって興味を示すことが「子どもの大人化計画」の第一歩になります。
■子どもの心を強くする魔法のことば
<安心のマジックワード>
⑨だいじょうぶ
実は、私たちが抱えている心配事のほとんどは、ただの思い込みや勘違い、妄想であってその9割は取り越し苦労にすぎません。
とはいえ、「心配事は90%は起こらない」と言われたところで「はいそうですか」と素直に安心できる人はごくわずかでしょうし、不安に揺れる心は簡単に鎮まるものでもありません。そこでまわりの人から「だいじょうぶ」という言葉をかけてもらうことによって、心を安定させることも必要なのです。
「だいじょうぶ」とは「それは悩み損だよ」「無駄な苦労だよ」「だから心配してもしょうがないよ」という気づきを与えてくれる言葉です。
子どもたちの始まったばかりの人生には、希望と同じくらいに不安もあるはずです。やることなすこと、見るもの聞くもの、すべてが初めてのことばかりですから当たり前です。そんな未知の出来事に関する恐怖や不安や焦燥といったネガティブな感情の炎をそっと鎮火させるのが「だいじょうぶ」という言葉なのです。
■子どもの心に響く魔法のことば
<指摘するマジックワード>
⑩らしくないね
承認、感謝、感心、安心…など肯定的なマジックワードの中でたったひとつ、ポジティブな響きを持たない言葉が「らしくないね」です。
暴力を振るったり暴言を吐いたりするなど、子どものよくない行いをいさめる言葉であるはずの「らしくないね」がなぜ自己肯定感を上げることになるのでしょう?
「らしくないね」とは、本来のあなたを認めているからこそ出てくる言葉です。
よくない行いをしている今のあなたはちょっと変だね。でも私は本当のあなたをちゃんとわかっているからね、というメッセージで、否定でも拒絶でもなく、受容の言葉なのです。
いかかですか? ちょっと意識すれば、どれも日常ですぐに使えそうな言葉ではないですか?
使い方のコツとしては、これらの魔法のことばは「軽く、明るく、さりげなく」使うことです。「褒めて育てよ」という教育理念があるように、褒めることは決して悪いことではありません。 しかし、私はいつも「褒めるのではなく、徹底的に認めてください」と申し上げています。
「お子さんを褒めてください」と言うと、たいてい大げさだったり、わざとらしかったりするものです。 「わざとらしく」ならないようにするために、軽くしゃべり、明るく、さりげなく、認めることが大事なのです。
親や周囲に「あるがままを認められた子ども」は、ますますみんなに認められようと楽しい努力を重ねていきます。
「呪いの言葉をやめて、魔法のことばを使ってみる」
「そんなに簡単にいくわけがない」「むずかしい」「無理だ」と考えるなら、うまく行かないかもしれません。
でももし、あなたがもっと気楽に考えて、「よしそれならためしてみよう」と実行してみたら、きっと楽しい現実に出会えます。言葉は、呪いにも魔法にもなるのです。
「呪いの言葉をやめるだけで学力が上がるなんて信じられない」といぶかしがるより、「いざお試し2週間!」ぐらいの軽い気持ちで、ぜひやってみることをおすすめします。
今回のテーマ、「子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば」のより詳しい内容をご覧になりたい方にはこちらの著書をおすすめします。
魔法のことばの使い方のコツ、例、また悩めるママたちの相談室、などがわかりやすく掲載されています。
石田勝紀先生 オフィシャルサイト
http://www.ishida.online/