2019年3月24日(日)いよいよ福岡で、10年振り3度目の上演が始まるディズニーミュージカル『ライオンキング』
国内通算公演回数11,700回を突破し、観客動員数は1,200万人を超え、日本演劇史上最多の記録を誇るこのミュージカルの、舞台仕込みの様子を取材させていただきました！

総勢100人が作り出す『ライオンキング』の舞台

ライオンキングの壮大な世界観を支える舞台に使われる資材は、11トントラック、4トントラック、業者のトラックなどで合わせて約50台も！
今回の福岡公演へ向けて2019年1月21日に舞台仕込がスタート。工程ごとに順番に搬入され、4週間かけて搬入が完了します。
最初にセットされるのは床機構です。はめ込みが終わるとショーポータルと呼ばれる、舞台の縁取りや床、そして、”吊り物”と呼ばれる幕やパネル・大道具などが吊られます。
ステージのゆかにはプライドロックと同じように黒い模様があります。

全てがペインターさんの手書きによって施される模様。

この模様には図面があり、全て細かく作りこまれています。専門のペインターさんが手書きして、4層も5層も塗って仕上げているのです！
よーくみてみると、どれも交差していません。ラインは突き抜けて×にならないようになっているのです。

階段の模様も交差していないのがわかります。

『ライオンキング』の装置の要”プライドロック”の搬入

舞台のメイン装置となるプライドロック

4ｍ弱の大きな装置は11tトラックで搬入。照明装置と同様に、フルオートメーション化されていて、一つのプライドロックが物語にそって上手から出てきたり下手から出てきたりできるようになっています。
プライドロックは組み立てだけで丸1日、調整などのセッティングに１～2日かかるそうです。

『ライオンキング』の物語の象徴的場所であるプライドロック。ここにも黒い模様がありますよね。
皆さんはこの模様の意味をご存知ですか？
これは、”シンバ”のおじである”スカー”が引っかいた傷と言われているそうです！

俳優さんが合流するまでまだまだ続く舞台仕込み

プライドロックが終わると、照明や音響機材が運び込まれます。
1200台もの照明が舞台や客席上部に所狭しと取り付けられます。

観ている時には気がつかないところにもたくさんの照明が。
ミュージカルの世界を作るための大切な装置がたくさんです。

舞台の下にも照明が。

取材当日はちょうど照明や音響が運び込まれたところで、翌日からはパーカッションも搬入されて調整が始まるということでした。
その後は、手作業で床の塗りなおし作業に入り、全ての舞台装置が設置されます。
そして、機械で動く装置に演出に合わせた動きを指示するための”打ち込み”と呼ばれる作業が行われます。その間にも、舞台装置や照明の細かい手直しや調整作業が続いていきます。

大道具、音響、照明の準備が整うと、技術スタッフだけでテクニカルリハーサルが1週間続き、さらに俳優さんが合流し1週間の舞台稽古が行われます。
こうした数々の工程を経てライオンキングが幕を開けるのです！

舞台監督　田邊さんのお話

田邊さんご自身も、『ライオンキング』を見て、劇団四季に入団したということでした。
『ライオンキング』の魅力は、プライドロック以外の大掛かりな装置がなくても、俳優さんやパペットの演技や動きだけで物語が成立するところ。数ある作品の中でもまれな存在なのだそうです。
その中でも田邊さんの好きな曲は「サークル・オブ・ライフ」。
一瞬で物語の世界に引き込む迫力には、ご自身も人生観を変えられてしまうほどの衝撃と感動を覚えたそうです。
そんな壮大な物語を支える舞台の監督として、安全面には特に気を遣っているということでした。
「舞台仕込みのスタッフだけでなく、俳優さんや、関わる全ての人が「いってきます」と家を出て、「ただいま」とうちに帰るまで、事故がなく毎日を過ごせるのはとても大切な事です。」
と語る田邊さん。
感動を呼ぶステージの裏側には、数々の計算された装置や、ステージ上の安全を守る沢山の見えないスタッフの存在があるのです。

ディズニーミュージカル『ライオンキング』福岡公演
2019年3月24日(日)開幕
《STORY》
これは家族や仲間、先祖、生命のつながりの大切さ(サークル・オブ・ライフ)を伝える物語。
ライオンの王ムファサは息子シンバに、生命は永遠に受け継がれるという自然界の理念を教える。
ある日シンバの叔父スカーが王位を狙い、父を殺す。自分のせいで父が死んだと思い込んだシンバは群れを離れ、友と出会い、「ハクナ・マタタ(くよくよするな)」の歌に励まされ立ち直る。
成長したシンバの前に幼友だちナラが助けを求め、シンバはスカーと対決すべく故郷を目ざす。